今回はベッドキット取付の際の大事なポイントを説明します。
カーヴィンのベッドキットは、タイヤハウスの前後にあるロープフックの取り付け穴を利用して設置します。
穴は下の画像の矢印部分にあります。すでにベッドを設置された方にはおなじみの場所ですね。
カーヴィンだけでなく他メーカーさんのベッドも同様なので今回の記事は参考にしてみてください。
100系の時代も含めるとカーヴィンのベッドを発売してから17年が経ちましたが、ハイエース自体がとても頑丈で長持ちする車であることに加え、弊社のベッドも「壊れない」と好評をいただいているおかげで、10年以上に渡ってベッドをお使い頂いているお客様も大変多くいらっしゃいます。
また中古のハイエースを買ったらカーヴィンのベッドが付いていた、というお話もよく聞きます。
その結果最近よく寄せられる内容で、ベッドを固定しているボルトが固着して取れない、というもの。
これが現在のベッドキットに付属させているボルトです。初期の製品は普通の六角ボルトを同梱していましたが、10年ほど前から頭が邪魔にならないこのボルトを採用しています。
ところで先に示したロープフックの取り付け穴というのは、雌ねじとしてボディの下側に特殊なナットを溶接してボルトが噛むようになっていますが、実はこの場所は外部にむき出しになっています。
上から覗いた穴です。アスファルトの路面が見えています。
裏から見てみましょう。これがナット(雌ねじ)部分です。
この画像はウチの仕事用ハイエースなんですが、ご覧いただいて分かるとおり沢山の砂が付着しています。
とくにこの場所は後輪タイヤの直後ということもあってタイヤが跳ね上げた泥水が猛烈にかぶる厳しい環境になっています。
これはボルトを取り付けた状態です。このボルト先端と雌ねじ部分は常に泥水などに晒されています。
そもそもこのボルトはタイダウンフックを取り付けている場所なので、トヨタさんとしても取り外すことを想定していないので仕方ないですね。
カーヴィンのお客様にはサーファーが多いので、特に海水混じりの泥水だった場合はサビやボルトの固着のリスクがつきまといます。
そこでおすすめしているのが、あらかじめボルト先端と雌ねじ部分にグリスなどの油脂類を塗っておくことで固着のリスクを防ぐことができます。
ウチではお客様のベッド取付の際はこういったスプレーグリスを吹きかけています。
このスプレーグリスのメリットは適度な流動性があること。
ホームセンターではもっと粘度が高い(ようするにコテコテ)のグリスが売られていますが、これでも固着を減らすことが出来ますが注意があります。
あまり粘度が高いグリスの場合、経年変化で硬くなる場合があります。油脂を塗ると言うことは砂が付着しやすくなるという裏腹な一面があります。
砂がたっぷりたまった状態でグリスが硬化するとこれもまたボルトが抜けにくくなる原因になります。
さらに固着の予防として、時々ボルトを抜き差しすることもおすすめします。
車検の度にベッドを外している方もいらっしゃると思いますが、車検で外さなくても良いと判断してもらっている検査場で受け続けている方には10年間ベッドを載せっぱなしということもありえます。これも危険なことで、長い年月の間にボルト先端が腐食し、いざという時に抜けなくなってしまう事例にもなります。
ベッドを下ろす必要が無い方でも、年に2度3度定期的にチェックの意味で抜き差しをしてください。
さてここまで話して、そもそも腐食しないボルトだったら良いのでは?とも思えてきます。
腐食しない、錆びない金属としてステンレスが浮かび上がりますね。
でも実はステンレスも錆びます。もちろん鉄より錆びにくいのは事実ですが「錆びにくい」というだけで実際は錆びます。
またステンレス単体では錆びにくいのですが、鉄と接触していることで普通より早く錆びてきます。
この原理は「ガルバニック腐食」と言います。ちょっと難しい理論なので説明はリンク先を参照してください。
ガルバニック腐食について
https://www.oiles.co.jp/bearing/oiles_bearing/tech_data/densyoku/
ということで、ちょっと面倒ですが脂類を塗って定期的に抜き差しをする。
裏面が露出しているハイエースの現状ではこれが一番ですので、さっそくお手入れをしてみてください。